春の訪れを告げるヨシ焼き・緑川流域の環境保全など川口漁業協は環境問題に取り組んでいます。

“ヨシ焼き”の目的とは


 緑川河口の中州でのヨシ焼きは、平成19年から春の訪れを告げる風物詩として毎年実施されています。
 ヨシ焼きについて、歴史をさかのぼってみましょう。

 日本書紀に、「豊葦原千五百秋瑞穂國(とよあしはら
のちいおあきのみずほのくに)」という記載があります。
分かりやすく言うと「葦が生い茂り、永遠に穀物が豊か
にみのる国」という意味で、日本を美しく称えた呼称です。
太古の昔、日本は湿地帯が多く、葦がたくさん
生い茂っていたんですね。

葦の群生

 「葦」は水辺に群生するイネ科の多年草で「アシ」
もしくは「ヨシ」と読みます。本来の名前は「アシ」
ですが、「悪し」に通じる忌み言葉とされ「ヨシ」と
言い換えられて定着したようです。

 ヨシの群生は日本各地に見られ、高さが1~3メートル
ほどになるため、動物の棲みかや隠れ場として利用されて
きました。また、ヨシの茎は中が空洞になっており丈夫な
ため、昔からすだれ(葦簀)の材料として重宝されました。

すだれ

 緑川河口に群生するヨシ原も郷土の原風景として地域の人々に
親しまれてきました。緑川河口のヨシは細く良質であったため、
海苔製造の際に必要な「ミス」に加工され全国で多く利用されて
きました。しかし、いつしか安価なプラスチック製に押され
ヨシの需要が無くなってしまいました。それととともに、
ヨシ原には人の手が入らなくなってしまったのです。
水質浄化の役目も果たしていたヨシ原は荒れ放題となり、
次第に浄化機能の低下などが憂慮されはじめました。

 そこで、ヨシ原の環境を守るために平成19年、
「ヨシ焼きin緑川実行委員会(代表 藤森隆美)」
の主催で “緑川ヨシ焼き” が始まりました。

ヨシ焼きIN緑川実行委員会 藤森隆美代表

 春の訪れを感じる季節にヨシ焼きを行うことで、
葦の新芽の発育を促し、害虫の駆除も行います。
川や海の水を浄化してくれるヨシ原は、魚や貝な
どの生育にも大切な存在なのです。

ヨシ焼きの着火の様子